DEMENTIAもの忘れ(認知症)外来

もの忘れ(認知症)とは

ご高齢の記憶の変化に、専門的な視点で寄り添います

「最近、もの忘れが増えてきた」「同じ話を何度も繰り返してしまう」
――そんな変化に気づいたとき、「年のせいかな」と思われる方も多いかもしれません。確かに、年齢とともに記憶力が少しずつ低下するのは自然なことです。

しかし、その中には認知症のはじまりが隠れていることもあります。早い段階で気づき、適切に対応することで、進行をゆるやかにしたり、ご本人らしい生活を長く保つことができる可能性があります。

当院の「もの忘れ(認知症)外来」では、もの忘れや認知症について心配されている方や、そのご家族を対象に、専門的な立場から丁寧にお話を伺い、必要に応じて検査や診察を行っています。

認知症とは、記憶だけでなく、判断力や注意力、言葉の理解など、さまざまな脳の機能が障害され、これまで通りの生活や仕事が難しくなってしまう状態を指します。原因はさまざまですが、早期発見・早期診断・早期治療がとても大切です。

「ちょっと気になるけれど、受診するほどではないかも」そんなときこそ、ぜひ一度ご相談ください。私たちは、ご本人とご家族の不安に寄り添いながら、安心につながるお手伝いをさせていただきます。

認知症にはさまざまな症状があります

認知症とは、ある特定の病気の名前ではなく、いくつかの症状が組み合わさって現れる状態のことを指します。 その原因となる病気はひとつではなく、アルツハイマー型認知症、脳血管性認知症、レビー小体型認知症など、さまざまなタイプがあります。

認知症の症状には、大きく分けて2つの種類があります。

中核症状

記憶力の低下、判断力の低下、時間や場所の感覚が曖昧になるなど、脳の機能そのものの変化によって起こる基本的な症状です。
これらは多くの場合、認知症の方に共通して見られます。

行動・心理症状
(BPSD:Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia)

不安や怒りっぽさ、幻覚・妄想、徘徊、うつ状態など、行動や気持ちの変化として現れる症状です。これらは「周辺症状」とも呼ばれ、中核症状があることで、環境や対人関係の影響を受けて現れることがあります。
BPSDは、周囲の対応や環境の整え方によって和らぐことも多く、適切な関わりや支援がとても重要です。

中核症状

認知機能障害

思考・推理・判断・適応・問題解決

  • 記憶障害
  • 言語障害(失語)
  • 判断力低下
  • 失行
  • 見当識障害
  • 失認

行動・心理症状(BPSD)
  • 不安

落ち着かない、イライラしやすい

  • 抑うつ

気持ちが落ち込んでやる気がない

  • 徘徊

無目的に歩き回る、外に出ようとする

  • 不眠

  • 妄想

物を盗まれたというなど

対象となる主な疾患

アルツハイマー型認知症

最も多い認知症のタイプで、海馬(記憶を司る部位)から萎縮が始まるとされています。
初期には「新しいことを覚えられない」「同じことを何度も聞く」といった記憶障害が目立ち、徐々に見当識障害(時間や場所が分からなくなる)や実行機能障害(段取りや計画が立てられなくなる)などが見られます。

脳血管性認知症

脳梗塞や脳出血など、脳血管の障害が原因で生じる認知症です。
症状は発症部位により異なり、記憶よりも注意力・遂行機能・感情のコントロールなどに変化が見られることが多く、「まだら認知症」とも呼ばれます。

レビー小体型認知症

幻視(実際にはないものが見える)や、日によって認知機能の変動が大きいのが特徴です。
パーキンソン症状(手足のふるえ・筋肉のこわばり)を伴うこともあり、転倒リスクにも注意が必要です。抗精神病薬に過敏に反応しやすいため、薬の選択に慎重な判断が求められます。

前頭側頭型認知症
(ピック病など)

比較的若い年齢(50〜60代)で発症することがあり、記憶よりも性格や行動の変化(反社会的・衝動的行動、共感性の低下)が目立ちます。仕事や家庭生活に大きな影響を及ぼすこともあり、本人に病識がないことも多いタイプです。

軽度認知障害(MCI)

日常生活には大きな支障はないが、年齢にしては記憶や認知機能に軽い低下が見られる状態です。
MCIの方の一部は将来的に認知症に移行する可能性があるため、定期的な評価と予防的な関わりが重要です。

うつ病による記憶障害
(うつ病性仮性認知症)

一見すると認知症に似た症状(集中力低下・もの忘れ・無気力など)を呈しますが、本質的にはうつ病が原因となっている状態です。適切な治療によって回復が見込まれます。

治療方法

薬物療法とデイケアによる
総合的な支援

当院では、薬物療法に加えて、併設のデイケアを活用した非薬物的アプローチを組み合わせることができます。認知症や記憶障害に対する症状の軽減・改善を目指しています。
認知症の進行を緩やかにするお薬(抗認知症薬)や、不安・不眠・興奮などの行動・心理症状に対するお薬は、適切に使用することで生活のしやすさを高めることができます。
また、デイケアでは、認知機能の維持を目的としたリハビリや、生活リズムを整える活動、他者との交流などを通じて、心身の安定や社会的なつながりを保つことを大切にしています。

もの忘れ(認知症)外来受診の流れ

初診予約時に、
もの忘れ(認知症)外来とお伝えください。